消防士 休職からそのまま退職…合法的に抜ける最終手段

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消防士が「休職から退職」を考える瞬間

「もう庁舎に戻るイメージが湧かない」

休職中の消防士の相談で、ほぼ全員が口にする言葉です。元消防士の私には、痛いほど分かります。

  • 現場のフラッシュバックで眠れない
  • 電話が鳴る音・無線の音だけで動悸が出る
  • 署の同僚からのLINEを見るのも怖い
  • 『戻れるように頑張ろう』と言われるほど追い詰められる

でも同時に、こうも考えていませんか?

  • 休職したのに、さらに迷惑をかけてしまうのでは
  • 退職したら「根性なし」と噂されるのでは
  • 退職の手続きで、また上司に頭を下げるのが怖い
  • 休職中に辞めたら懲戒にならないか

私も、現職のころに心身を壊しかけて、同じような不安に押しつぶされそうになりました。だからこそ断言できます。

「戻れない」と感じた時点で、自分の身を守る退職ルートを現実的に考えるべきです。

休職のままズルズルは危険…消防士の心とキャリアに起こること

「もう無理だ」と思っていても、休職のまま時間だけ過ぎていく。これは消防士にとって、かなり危険な状態です。

1. うつ病・適応障害が「慢性化」するリスク

消防の世界は、心の不調にかなり不理解な文化が残っています。

  • 「男子たるもの」「消防士たるもの」論
  • 『お前が抜けたら誰が出るんだ』という罪悪感の押し付け
  • 『気分転換に出てこいよ』と、半ば復職を迫る連絡

こうした環境で、回復していないのに『復職前提』の休職を続けると、症状がどんどん長引きます。医師からもよく言われますが、うつ病やPTSDは、「戻れない場所への義務感」が強いほど治りにくい。

結果的に、

  • 何年も就労不能状態が続く
  • 一般企業への転職活動を始める気力も湧かない
  • 『消防に戻れない自分はダメだ』という自己否定が固定化する

という、かなりしんどいルートに入りやすくなります。

2. 「勝手に辞めたら懲戒かも」の不安で動けなくなる

消防士の多くが怖がるのが、

「出勤もせずに、休職中のまま退職なんてしたら懲戒処分になるのでは」

という不安です。

この不安のせいで、

  • 退職願を書いても提出できない
  • 提出の日取りを何度も延ばす
  • 上司への連絡を先延ばしにして、自分を責める

という「宙ぶらりん状態」が続きます。

実は法律上、休職中に退職すること自体は違法でも反則でもありません。ところが、消防本部・所属によって運用や雰囲気はバラバラで、

  • 『一度は復職してから考えろ』と圧をかけてくる上司
  • 『診断書を出さないと退職は認めない』と言い出す人事
  • 『就業規則に前例がない』と、わざと話を引き延ばす管理職

など、組織独自ルールが平気で飛び出してきます。

ここに一人で立ち向かうのは、心身を壊している状態ではかなり酷です。

3. 人事・上司からの「口約束」を信じて傷つく

消防の世界でよくあるのが、

  • 『とりあえず休んで、また相談しよう』
  • 『お前のペースでいいから戻ってこい』
  • 『うちの署で配慮するから』

という“優しそうな”言葉。

しかし、実際に復職の話が近づくと、

  • 配属が急に変わる(繁忙署・救急隊など)
  • 「やっぱりみんなと同じように勤務してもらう」と前言撤回
  • 症状がぶり返しても『自己管理が足りない』と責められる

結局、口約束に過ぎなかったことを、ギリギリになって思い知らされ、立ち直れなくなる消防士を何人も見てきました。

〈結論〉
「もう戻れない」「復職のイメージがない」と感じているなら、休職を伸ばすことがあなたを救うとは限りません。むしろ、安全に退職するための準備を、早めに始めるべき段階に来ています。

消防組織の論理を超えて、休職から安全に退職するには

消防本部・署の論理は、最終的にこうなりがちです。

  • 「人員が足りないから、まず復職させたい」
  • 「前例がないことはしたくない」
  • 「波風立てずに穏便に終わらせたい」

つまり、「あなたの人生」より「組織の都合」が優先されやすいということです。

その中で、休職中の身で「退職したい」と言い出すのは、相当なプレッシャーがあります。上司からの一言で、簡単に押し戻されてしまうこともある。

だからこそ私は、元消防士として、組織の論理を超えてあなたを守ってくれる“外部の盾”を持つことを強くおすすめします。

唯一の現実的な盾:公務員に強い弁護士を味方につける

休職中の消防士が「安全に退職」する際に、具体的に問題になるのは次のような点です。

  • 休職中に退職願・退職届をどう出すか(郵送で良いか、代理人が可能か)
  • 退職日をどう設定すべきか(傷病手当金・ボーナスなどへの影響)
  • 『一度復職してから』など、違法・不当な要求をされたときの対処
  • 不利益な人事評価・懲戒処分をチラつかせられた場合の防御

こういった場面で、あなた一人で、精神的に追い詰められた状態で交渉するのは本当に危険です。

そこで頼りになるのが、公務員の退職・メンタル不調案件に慣れた弁護士です。

中でも、私が相談先として名前を挙げているのが、弁護士法人みやびです。

  • 公務員(消防士を含む)の退職・ハラスメント・メンタル案件の実績が多い
  • 「出勤せずに辞めたい」「もう職場と直接話したくない」という状況に慣れている
  • あなたに代わって、所属とやり取りをしてくれる(委任後)
  • 法的にどこまで守られるか、どんなリスクがあるかを冷静に整理してくれる

押し売りではなく、「身を守るための盾を一枚持っておく」という感覚に近いです。

実際、

  • 弁護士のアドバイスを受けながら、書面のやり取りだけで退職までたどり着いた消防士
  • 人事の不当な要求(『一度出てこい』など)を法的に突っぱねて、出勤せずに退職できたケース
  • 退職日や書き方を工夫することで、経済的なダメージを最小限にした事例

こういったケースは、現場を離れた今もよく耳にします。

あなたの人生は、組織の「人員表」を埋めるためにあるわけではありません。
もう戻れないと感じたなら、「どうすれば安全に降りられるか」を一緒に考えてくれる専門家を、早めに味方につけてください。

弁護士法人みやびでは、電話やオンラインでの相談にも対応しています。まずは、

  • 現在の休職の状況
  • 人事・上司とのやり取り
  • 自分が本当はどうしたいのか(戻るのか、辞めるのか)

を整理するつもりで、一度プロの意見を聞いてみてください。

休職中に退職するための、現実的なステップ

最後に、「もう戻れない」と感じている消防士が、休職中から退職に向けて進むための、現実的な流れを整理します。

ステップ1:医師に「戻れない正直な気持ち」を伝える

まずは、主治医に対して、

  • 現場に戻るイメージが全く湧かない
  • 消防組織に所属し続けること自体がつらい
  • 退職を考えているが、手続きが怖くて動けない

という気持ちを、包み隠さず話してください。

医師は、あなたの就労可能性や、今後の見通しを診断書などに反映する人です。ここで嘘をついて「そのうち戻れる気がします」と言ってしまうと、後の手続きがかえってややこしくなります。

ステップ2:弁護士に「いまのルールの中で、どんな降り方があるか」を確認

次に、弁護士に相談し、

  • あなたの所属(市町村・消防本部)のローカルルール
  • 休職規定・復職規定・退職規定
  • 懲戒リスクの有無

を前提に、「現実的に取りうる選択肢」を整理してもらいます。

この時点で、

  • ・◯月末で退職するのがベスト
  • ・退職願は郵送でOK/NG
  • ・本人が出ていかなくても、書面や代理人で足りる

などが具体的に見えてくるはずです。

ここまで来ると、漠然とした不安が、「やるべき手続きのリスト」に変わります。

ステップ3:所属とのやり取りは、できるだけプロに任せる

人事・上司とのやり取りは、あなたのメンタルにとって最大の負担になります。

可能であれば、弁護士に正式に依頼し、あなたの代理人として所属と連絡を取ってもらうことをおすすめします。

  • 退職願・退職届の書き方
  • 提出方法(郵送・持参)の指示
  • 不当な要求への、法的根拠に基づく反論

これらを全部自分ひとりでこなす必要はありません。

あなたは、これ以上傷つかないこと、そして回復に専念することに、エネルギーを使ってください。

よくある質問

Q. 休職中ですが、出勤せずにそのまま退職することはできますか?

A. 法律上、「休職中だから退職してはいけない」という決まりはありません。多くの自治体の人事条例・規則でも、休職者の退職を禁止してはいません。ただし、所属ごとの運用(退職願の提出方法・医師の診断書の要否など)があるため、独断で動くとトラブルになりやすいです。できれば、公務員案件に慣れた弁護士(例:弁護士法人みやび)に、あなたの所属に合ったやり方を確認してから動くのが安全です。

Q. 休職中に退職したら、懲戒処分や「自己都合退職」などで不利になりませんか?

A. 休職中に退職すること自体を理由に懲戒処分にするのは、相当無理があります。懲戒は、法律や条例で定める「非違行為」が必要だからです。また、退職理由については、一般的には「自己都合退職」の扱いになることが多いですが、休職理由・経過によっては、将来の公務員採用・再就職で不当に不利に扱われないよう、文言の調整を求める余地もあります。ここも、弁護士に相談しながら進めると安心です。

Q. 上司から『一度は復職してから考えろ』と言われています。従うしかないのでしょうか?

A. 医師が「就労困難」と判断しているにもかかわらず、組織側が「一度出てこい」と強要するのは、労働安全衛生の観点からも問題があります。心身の状態によっては、復職の試行自体が病状悪化のリスクになります。このような要求に対しては、医師の診断書や弁護士の意見書をもとに、法的根拠を示して拒否することが可能です。一人で交渉すると押し切られやすいので、弁護士法人みやびのような第三者を盾にすることをおすすめします。

Q. 退職後の生活や転職が不安で、踏み出せません。

A. 不安になるのは当然です。消防一本でやってきた人ほど、「外の世界で通用しないのでは」と感じがちです。ただ実際には、消防士の経験(危機対応・チームワーク・体力・責任感)は、民間企業でも高く評価されます。まずは、心身の回復を優先しつつ、ハローワークや転職エージェント、公務員経験者向けのキャリア相談など、複数の相談先を使い分けてください。「辞めるか・残るか」ではなく、「どういう形で働き直すか」という視点を、少しずつ育てていけば大丈夫です。

Q. 弁護士に相談すると、必ず裁判や大ごとになってしまいませんか?

A. 多くのケースでは、裁判まで行かずに、「書面でのやり取り」や「話し合い」で解決します。弁護士に相談する目的は、ケンカをすることではなく、あくまであなたの権利と健康を守ることです。弁護士法人みやびのように、公務員案件に慣れた事務所であれば、「波風を最小限にしつつ、安全に降りる」ための現実的な落としどころを一緒に考えてくれます。

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